自然発火にご注意ください
近年、塗料を拭き取ったタオルが自然発火し、火災の原因となる事故が起こっています。
塗料による自然発火について、ご注意いただきたい内容をご紹介します。
自然発火とは?
人が火をつけていないのに、自然に出火することを自然発火といいます。
例えば、揚げ物の油や塗料、インキ、ワックスなどの油類は、酸化することで発熱し出火する可能性があります。その他にも、空気中で自然に燃え出すマッチの材料の黄リン、水の入ったペットボトルなどによる太陽光の集光、雷や火山の噴火などが原因となることがあります。
どんな時に、塗料が自然発火するのか?
塗料やワックスなどの油類は、酸化反応することで発熱します。その主な条件は「酸素」「温度」「密度」の3つ。油類は酸素に触れることで酸化し、酸化熱を発生。その熱エネルギーは、温度が高い状態でさらに増幅します。そして、密度が高ければ高いほど熱がこもり、発火につながるのです。
たとえば、塗料やワックスを拭き取った布、油が染み込んだ紙、養生に使ったシートなどを、山積みしたり、容器にまとめて入れたり、ビニール袋に入れたまま放置するといった原因が考えられます。
塗膜は自然発火しません
塗膜(塗料が固まって膜となったもの)は、薄く塗り広げられた状態のため、熱がこもることはなく、自然発火は起こりません。一般的な塗膜の厚みでは、酸化反応による発熱より熱放射の方が早く、熱エネルギーが蓄積されることがないからです。
自然発火する可能性のある塗料
すべての塗料が自然発火するわけではありません。可能性があるのは、油脂を基本成分として酸化乾燥で硬化し塗膜になる「アルキッド樹脂系塗料」です。たとえば、アクリルエマルション系などの塗料は発火することはありません。また、自然発火ではありませんが、ラッカーなど引火性塗料も火気に近づけると危険ですのでご注意ください。
塗料についている表記を
ご確認ください
塗料についているGHS絵表示(ピクトグラム)をご確認ください。
塗装現場などでの予防方法
アルキッド樹脂系塗料を使った場合は、以下のことにご注意ください。
- 拭き取った布、塗料の付着したシートやダンボール、集めた塗料かすは、山積みしたり容器やビニール袋にまと
めたりしない。 - それらの布などは、水を十分に入れた容器に沈めてフタをし、水が蒸発しないように注意する。
- 安全な焼却設備がある場合は、そこで焼却する。