橋梁・タンク・発電所・プラントなど鉄構造物向け
「ニッペ 水性防食システム」を開発・新発売

日本ペイント株式会社（本社：大阪市、社長：酒井健二）は、鉄構造物向け塗料（重防食塗料）領域において、下塗りから上塗りまでの全塗装工程の水性化に業界で初めて成功し、「ニッペ 水性防食システム」として８月２８日（火）より販売を開始しました。

近年、戸建て住宅・マンションなど建築塗装の分野において、ＶＯＣ（揮発性有機化合物）やＰＲＴＲ法（※１）対象物質など大気汚染物質抑制の要請や住環境への配慮などから、有機溶剤を極力抑えた水性塗料が「環境配慮型塗料」として主として使用されております。

ところが、ビルや発電所、プラントなどの鉄構造物に塗装される分野（重防食塗料領域）では、被塗物が塩害や紫外線・酸性雨といった劣化要因の影響を強く受ける環境下にあることと、塗料そのものの耐食性や耐候性などの性能面が優先されるために、塗料の水性化が遅れておりました。

そこで当社は、自動車用塗料などの開発で培った先進のコーティングテクノロジーを応用し、重防食塗料領域での全塗装工程における水性化に取り組みました。そしてこの度、全塗装工程の水性化に成功し、８ 月２８ 日（火）に「ニッペ 水性防食システム」として上市いたしました。

本システムは全塗装工程において水性塗料を使用するため、鉄構造物のみならず、住宅・マンション・学校・食品工場など臭気への配慮が特に必要な場所でも、塗装からくる臭気が低減されるという効果をもたらすことができます。また、消防法上「非危険物指定」となるため、数量の制限なく貯蔵が可能となり、従来品より取り扱いが簡単になります。

今後、当社では「ニッペ 水性防食システム」を全額出資子会社の日本ペイント販売株式会社（本社：東京都品川区、社長：利光哲也）を通じ、従来の重防食塗料領域のみならず、幅広い領域に広く展開していき、５年後には５億円の売上を目指します。

（※１）

ＰＲＴＲ法：

「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」

【ご参考】

水性塗料：

塗料を塗布しやすくするため、材料を溶かす際に溶剤として水を使用した塗料。以前はシンナーを溶剤として使用する塗料（溶剤型塗料）が主流でしたが、環境に対する悪影響が懸念されることから、現在では水を溶剤として使用する水性塗料が環境配慮型商品として塗料業界の主流を占めています。

重防食塗料：

橋梁やプラント、タンクなど屋外の厳しい環境にさらされている鉄構造物を錆による腐食から保護する塗料。鉄構造物のライフサイクルコストを低減させる材料の一つです。近年では防錆ばかりでなく、コンクリートの剥落を防止する塗料なども、この分野において注目されています。